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2026年2月18日

タイ市場で問われる「日本品質」の本当の意味とは?

Webサイト制作 タイ進出

海外展開を検討する日本企業の多くは、自社製品の強みを伝える際の要素の一つとして「日本製」であることを挙げています。日本製品がこれまで、品質の高さや安全性、信頼性といった評価を積み重ねてきたのは事実であり、そのイメージはタイ市場においても一定の認知があります。

一方で、タイ現地の市場環境を見ていくと、商品の選ばれ方には少しずつ変化も見られます。流通する商品やブランドの数が増え、比較検討が一般的になり、消費者が事前に得られる情報量も大きく広がりました。その結果、製造国やブランド名だけで判断されるのではなく、「自分に合っているか」「納得して選べるか」といった視点まで含めて検討される場面が増えているようです。

こうした市場環境の転換期にある今、本記事では「日本製」「日本品質」という言葉をあらためて見直し、その中身にはどのような価値が含まれているのか、そしてそれをどのように伝えていくべきかについて考えてみたいと思います。

「日本品質」を形づくる4つの要素

「日本品質」という言葉は便利な表現ですが、その中身を説明しようとすると意外と曖昧になりがちです。ただ日本で作られていることを指すのであれば、それは単なる製造国表示に過ぎません。本来の意味での日本品質とは、もっと構造的なものだといえるでしょう。

では、そもそも日本人は「日本品質」という言葉にどのような要素を含めて捉えているのか。その中身をあらためて整理してみたいと思います。

一般に「日本品質」は、次の4つの要素の組み合わせによって成り立っていると考えられます。

① 高い精度を実現する設計思想
② 同じ品質を再現できる製造プロセス
③ 継続的に改良を重ねる仕組み
④ 購入後も続く丁寧な顧客対応

これらは単独で存在するものではなく、相互に連動しています。

精度の高さは工程管理によって支えられ、工程管理は改善活動によって維持され、改善活動は顧客の声によって促されます。

つまり日本品質とは、製品そのものではなく、品質を生み続ける仕組み全体を指す言葉だと言えるでしょう。

こうした特徴は日本独自のものというより、品質を重視する企業であればどの国にも見られる考え方です。ただし国際比較の文脈では、日本企業は「個々の要素の強さ」よりも「要素同士の連動性」に特徴があると指摘されることがあります。

たとえば、設計思想と製造工程、改善活動と顧客対応といった領域が分断されず、一つの循環として機能している点です。このように品質を点ではなく仕組みとして捉える姿勢が、日本品質の特性の一つだといえるでしょう。

タイ市場で変わりつつある「日本製」の受け止められ方

日本品質という言葉の中身を構造的に整理したところで、次に気になるのは、その価値が実際の市場でどのように受け止められているかという点です。ここからは、タイ市場に焦点を当て、日本ブランドの評価がどのように変化しているのかを見ていきます。

野村総合研究所(NRI)の調査によると、ASEAN6か国5,000人を対象にした調査(2023年)では、日本ブランドは依然として域内で最も好意的なイメージを持たれている国として認識されています。

しかし、10年前との比較データを見ると、タイでは日本ブランドに対する評価が74% → 49%へと低下しており、依然高評価を維持しながらも、相対的な優位性が縮小していることが分かります。

Question: Which country’s brand image has a positive impact on domestic products and services?
(Individual countries; multiple answers, in %)

一方で同期間、中国ブランドは12% → 32%、韓国ブランドは33% → 28%と推移しており、とくに中国ブランドの評価上昇が目立ちます。

つまりタイ市場では、日本ブランドの評価が急落したというより、競合ブランドの存在感が大きく伸びたと理解する方が実態に近いと言えます。

ブランドイメージの質的評価にも違いが見られます。ASEAN全体の印象調査では、日本ブランドは「信頼できる」「プロフェッショナル」「信頼感」といった評価が上位に並び、品質・信頼領域では依然として強い位置を保っています。

ただし同時に、韓国や中国ブランドは「創造的」「モダン」「若々しい」といった感性面の評価が高く、調査分析では、日本ブランドは品質評価は高いものの、感情的な魅力の面では競合に比べて弱い可能性が指摘されています。

このようにタイ市場では、日本製は依然として信頼できるブランドとして認識されている一方、その評価の意味合いは少しずつ変化しています。単に「日本製だから選ばれる」のではなく、「なぜ信頼できるのか」が理解されて初めて選ばれる段階に入りつつあると言えるでしょう。

だからこそ、日本製という表示そのものが強い訴求力を持つという前提だけに頼ってしまうと、市場の変化に気づきにくくなる可能性があります。現在は、その信頼の理由まで伝えていくことが、これまで以上に重要になっているのかもしれません。

出展:Nomura Research Institute, Ltd.
https://nrisg.com/wp-content/uploads/2024/07/How-has-the-brand-perception-of-ASEAN6-towards-East-Asian-changed-in-the-last-10-years.pdf

タイ市場で「日本品質」をどう見せるか ― 重要な3つのポイント

タイ市場では、日本製という言葉自体の信頼性は依然として強みとして機能しています。ただし現在は、その信頼が「自動的に選ばれる理由」になるとは限りません。だからこそ重要になるのが、日本品質の価値をどのような形で伝えるかです。ここでは、日本製の強みを正しく理解してもらうために意識したい3つの視点を整理します。

① 抽象ではなく根拠で伝える

「高品質」「安心」といった表現だけでは、他国ブランドとの差は伝わりません。必要なのは、それを裏付ける具体情報です。検査工程、耐久試験、品質基準、保証内容などを提示することで、品質は印象ではなく判断材料になります。信頼性を強みとするブランドほど、この“根拠の提示”が説得力を生みます。

② 強みは単独ではなく比較で示す

タイの消費者は複数ブランドを比較した上で選ぶ傾向が強いため、日本製の優位性は単独で語るより、違いとして示す方が理解されやすくなります。たとえば耐久年数、サポート体制、設計思想などを並べて見せることで、品質の差が直感的に伝わります。差が見えない限り、優位性は存在していないのと同じになってしまいます。

③ 信頼に「選びたくなる理由」を重ねる

調査でも、日本ブランドは信頼性や品質面で高い評価を得ている一方、感性面では競合ブランドが存在感を高めています。つまり信頼されているだけでは、必ずしも選ばれるとは限りません。だからこそ品質の説明に加えて、使用シーンやライフスタイルとの関係を提示し、「安心できる」だけでなく「使いたい」「持ちたい」と感じられる要素を設計することが重要になります。

タイ市場で日本製であることを主張することではなく、日本ならではの品質の価値を理解してもらうことです。その理解を支える情報設計こそが、これからのブランド訴求の差を生み出すと考えられます。

価値があるのに伝わらない企業が存在する理由

ここで多くの企業が直面する課題があります。それは「品質には自信があるのに、なぜか選ばれない」という状況です。この原因は品質そのものではなく、品質の伝わり方にあります。

企業側は、自社製品の強みとして精度、素材、耐久性、製造工程といった技術的優位性を説明します。しかし消費者が本当に知りたいのは、それらの特性が自分にどんな利点をもたらすのかという点です。

たとえば「耐久性が高い」と言われても、実際に何年使えるのか、なぜ壊れにくいのか、もし故障した場合の保証はどうなるのかまで分からなければ、比較検討の材料にはなりません。スペックは理解できても、価値が理解できていない状態です。

このズレが生まれる背景には、情報の提示方法の違いがあります。多くの企業は製品の特徴を順番に説明しますが、消費者は自分の課題を解決してくれる順番で情報を理解しようとします。つまり企業は「作り手の論理」で説明し、消費者は「使い手の論理」で判断しているのです。

言い換えれば、問題の本質は品質の不足ではなく、品質の翻訳不足にあります。価値そのものではなく、価値の伝え方に差が生じます。

特に海外市場では、この差がそのままブランド評価の差につながります。重要なのは、情報が現地目線で整理されているかどうかということになります。

単に言語を翻訳するだけでは十分ではなく、現地のユーザーが理解しやすい順序で構成されているか、判断に必要な情報が先に提示されているか、比較しやすい形になっているかといった設計まで含めて初めて「伝わる情報」になります。

この設計ができている企業は、同じ品質でも信頼を得る速度が明らかに速くなります。逆に言えば、品質そのものが優れていても、その価値が理解されないままであれば、市場では存在していないのと同じになってしまいかねません。

WEBサイトは品質への理解を深めてもらうための装置

タイ市場では、日本製という言葉だけで評価される時代から、その価値の中身まで理解されたうえで選ばれる段階へと変化しつつあります。

しかし実際には、多くの企業が自社製品の品質の本質を現地で十分に伝えきれていないという課題も見られます。品質そのものではなく、その伝え方に差が生まれているといえます。

こうした状況を踏まえると、重要になるのが「どの接点で価値を理解してもらうか」という視点です。

タイ市場においても、顧客が最初に触れる情報源がオンラインになるケースが多く、実店舗や営業担当が直接説明できない場面では、WEBサイトそのものが品質を説明する役割を担います。

ただしここで見落とされがちなのが、「翻訳されたサイト」と「伝わるサイト」は別物だという点です。国内サイトをそのまま言語変換しただけでは情報は掲載されていても、その価値が現地の閲覧者に正しく伝わるとは限りません。情報の順序や訴求の軸が現地の購買判断の流れに合っていなければ、強みは理解されないまま離脱されてしまいます。

さらに重要なのは、設計段階からタイ人の視点が反映されているかどうかです。閲覧者がどの情報を先に確認するのか、何をもって信頼できると判断するのかといった基準は国によって異なります。現地の判断基準を理解せずに構成されたWEBサイトは、どれほど正確な情報を載せていても「理解されないサイト」になってしまいます。

品質の高さは、それ自体では目に見えません。だからこそWEBサイトは、その見えない価値を可視化し、判断材料として提示するための装置だと言えます。タイ市場で成果を生むWEBサイトは製品を説明しているのではなく、品質の理由を理解してもらうために設計されているともいえます。

まとめ

タイ市場では、日本製という言葉そのものの信頼は依然として強みであり続けています。ただし現在は、その理由まで理解されたうえで選ばれる段階に入りつつあり、品質の高さそのものよりも、その価値をどう伝えるかが成果を左右するようになっています。

海外展開は販路を広げる機会であると同時に、自社の品質や強みをあらためて言語化する機会でもあります。現地の視点で価値を整理し直すことで、自社の特長がより明確になるケースも少なくありません。

私たちはタイに拠点を構えて10年以上、現地の市場変化を現場で見続けてきました。日本側の視点とタイ側の視点の両方を踏まえて設計できる体制を整えているため、企業が伝えたい価値と、現地で理解される価値のずれを調整しながら発信を組み立てることが可能です。これから進出を検討されている方や、現地向けの発信を見直したいとお考えの方は、状況に応じた進め方をご提案できますので、まずはお気軽にご相談ください。

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