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2026年1月11日

これからタイに進出するBtoC企業のためのタイ市場向けデジタルマーケティングスタートガイド

デジタルマーケティング タイ進出

海外展開の選択肢としてタイ市場を検討し始めたとき、多くのBtoC企業が最初に悩むのが、デジタルマーケティングをどこから考えるべきかという点です。

WEBサイト、SNS、広告など、重要そうな施策はいくつも思い浮かぶものの、何から手をつければよいのか判断がつかない、という声も少なくありません。

選択肢が多い一方で、判断の軸がないまま進めてしまうと、時間やコストばかりがかかり、成果につながらないケースも見られます。

特にタイ進出初期の段階では、日本と同じ感覚でタイ市場でのデジタルマーケティングを考えてしまい、現地のユーザー行動とズレが生じることも珍しくありません。

本記事では、具体的な施策に入る前に、タイ進出時のデジタルマーケティングをどのように整理し、どの順番で考えていくべきかを、BtoC企業向けにわかりやすく解説します。

 ① まず「目的」を整理する

タイ進出時にデジタルマーケティングを考え始めると、WEBサイトやSNS、広告など、やるべきことが一気に頭に浮かびます。ただ、悩みの原因は施策が多いこと自体ではなく、それぞれの役割が整理されていない点にあるケースがほとんどです。

タイ進出初期のBtoC企業にとって重要なのは、最初から完璧な施策を揃えることではなく、デジタル施策の目的を役割ごとに整理することです。

デジタルマーケティングの目的は、大きく分けると

「集客」
「受け皿」
「売る・行動につなげる」

の三つに整理できます。

■集客
集客とは、ブランドや店舗の存在を知ってもらい、興味を持ってもらうための役割で、SNS投稿や広告、インフルエンサー施策などが該当します。

■受け皿
受け皿とは、企業や店舗として信頼できるかを確認してもらう役割で、WEBサイトやGoogleビジネスプロフィールなどがこれに当たります。

■売る・行動につなげる
来店、購入、予約、問い合わせといった具体的なアクションを起こしてもらう役割で、ECサイトや予約フォーム、LINE公式アカウントなどが代表例です。

これらの役割を整理せずに進めてしまうと、それぞれの施策に何を期待しているのかが曖昧になり、結果として全体の判断がしづらくなってしまいます。

タイ市場のデジタルマーケティングにおいても、この役割の整理ができているかどうかで、初期の手応えは大きく変わります。

まずは「どこで集客し」「どこで安心してもらい」「どこで行動につなげるのか」という全体像を整理することが重要です。この整理ができていれば、次にどの施策から手をつけるべきかが自然と見えてきます。

② タイと日本で「企業・ブランドを知ってからの行動の違い」を意識する

タイ進出時のデジタルマーケティングを考える上で、日本と同じ感覚で進めてしまいがちなポイントの一つが、企業やブランドを知った後、ユーザーがどのように行動するかという点です。

日本では「知る → 調べる → 行動する」という流れを前提に設計されることが多い一方で、タイではこのプロセスが必ずしも同じ順番で進むとは限りません。

日本では、広告やSNS、口コミなどを通じて企業名やサービス名を知り、その流れで企業名やサービス名を検索し、公式WEBサイトを起点に情報収集を進めるケースが多く見られます。「知る」と「調べる」が比較的近い距離にあり、一連の行動として連続しやすいのが特徴です。

一方で、タイのBtoC市場では、企業やブランドを知るきっかけと、その後に詳しく調べる行動が、必ずしも連続して起きるとは限りません。タイのユーザーが企業やブランドを知るきっかけとして多いのは、SNSでの投稿や広告、知人のシェア、口コミといった「偶然の接触」です。この段階では、詳細な情報収集よりも、雰囲気や印象が強く記憶に残ることが少なくありません。

その後の行動も一様ではありません。SNSの情報だけを見てそのまま来店したり、Googleマップで場所や口コミだけを確認して判断したり、時間が経ってから思い出して検索したりと、調べ方やタイミングにはばらつきがあります。必ずしも公式WEBサイトを確認してから行動するとは限らず、「調べていないように見えて、実は別の場所で最低限の確認をしている」ケースも多く見られます。

このように、タイでは「知る」「調べる」「行動する」というプロセスが一本道ではなく、前後したり、省略されたりすることがあります。そのため、日本と同じように「まずWEBサイトを見てもらう」ことを前提にデジタル施策を設計すると、実際のユーザー行動とズレが生じやすくなります。タイ デジタルマーケティングでは、入口が複数あり、行動の流れも柔軟であることを前提に考えることが重要です。

この入口の整理ができると、次に考えるべき「どこで情報を受け止めるか」「どこで安心してもらうか」という受け皿の設計が、より現実的なものとして見えてきます。

③ 「受け皿」をどこに置くかを整理する

タイ進出時のデジタルマーケティングでは、集客の入口を整理した後に、必ず考えるべきなのが「受け皿」をどこに置くかという点です。SNSや広告、検索、Googleマップなど、ユーザーとの接点が増えるほど、情報の置き場が分散しやすくなり、結果としてユーザーが迷ってしまうケースが少なくありません。

受け皿とは、ユーザーが「この企業や店舗は信頼できそうか」「詳しい情報を知りたい」と感じたときに、安心して確認できる場所のことを指します。タイ進出初期のBtoC企業においては、WEBサイト、Googleビジネスプロフィール、LP(ランディングページ)、ECサイトや予約ページ、LINE公式アカウントなどが主な候補になりますが、それぞれ担う役割は異なります。

WEBサイト
企業やブランドの背景、考え方、商品やサービスの全体像を体系的に伝えるための場所です。会社としての信頼性を担保する役割が強く、「ちゃんとした企業・店舗かどうか」を確認してもらうための中核的な受け皿になります。

Googleビジネスプロフィール
営業時間や場所、口コミといった、来店前に素早く確認したい情報に適しており、特に実店舗ビジネスでは欠かせない受け皿です。

LP
特定の商品やサービス、キャンペーンに絞って訴求するための受け皿です。広告やSNSからの流入を想定し、情報を最小限に絞りながら、購入や予約、問い合わせといった行動につなげる役割を担います。WEBサイトが「全体を理解してもらう場所」だとすると、LPは「今この内容だけを伝える場所」と位置づけると整理しやすくなります。

ECサイトや予約ページ
「売る・行動につなげる」ことを主な目的とした受け皿であり、必要な情報を絞って設計されるケースが多く見られます。

LINE公式アカウント
購入後や来店後も含めた継続的な接点として機能し、リピートや再来店を支える役割を持ちます。

これらの役割や機能を、すべて一つの媒体で完結させる必要はありませんが、それぞれに何を期待しているのかが分かるように配置することが重要です。

よくある失敗として、SNSを受け皿代わりに使おうとしたり、LPに企業情報や別商材の説明まで詰め込みすぎてしまったりするケースがあります。その結果、何を伝えたいページなのかわからなくなり、行動につながらなくなってしまいます。

タイ市場でのデジタルマーケティングでは、「集客」「受け止める」「行動につなげる」という役割を意識しながら整理することで、施策全体の判断がしやすくなります。

タイ進出初期の段階では、受け皿の軸を一つ決めた上で、必要に応じてLPや行動用ページを組み合わせていく設計が現実的です。この整理ができると、次に考えるべき「今やらないこと」や「どこから始めるか」の判断が、より明確になります。

④ 「今やらないこと」を決める

タイ進出時のデジタルマーケティングでは、「何をやるか」を考えることに意識が向きがちですが、同じくらい重要なのが「今はやらないこと」を決めることです。選択肢が多いからこそ、すべてを同時に進めようとすると、時間やコストだけがかかり、継続できない状態に陥りやすくなります。

特にBtoC企業のタイ進出初期では、SNS、広告、SEO、オウンドメディア、インフルエンサー施策など、気になる施策が一度に視野に入ってきます。しかし、それぞれは運用負荷や判断スピードが異なり、現地体制が整っていない段階で無理に広げると、どれも中途半端になってしまいます。タイ デジタルマーケティングにおいて成果を出すためには、「できるかどうか」よりも「続けられるかどうか」という視点が欠かせません。

よくある失敗の一つが、進出直後からすべてのSNSを運用しようとするケースです。投稿頻度や内容が安定せず、更新されないアカウントが増えると、かえってブランドへの信頼を損ねてしまうこともあります。また、最初からオウンドメディアやSEOに力を入れすぎると、成果が出るまでに時間がかかり、社内の期待とのギャップが生まれやすくなります。

進出初期の段階では、「やらないこと」を決めることで、取り組むべき施策がはっきりします。例えば、集客の入口を一つか二つに絞る、高頻度のコンテンツ発信は行わない、複雑な広告設計は後回しにするといった判断です。これにより、限られたリソースを本当に必要な部分に集中させることができます。

「今はやらない」という判断は、妥協ではなく、実行可能性を高めるための戦略です。タイ進出初期のデジタル施策では、大きな成果を一度に狙うよりも、実際に回せる範囲で小さなゴールを一つずつ確実に積み上げていく方が、結果として次のフェーズにつながりやすくなります。

⑤ 小さく始めて、数字を見ながら広げる

前章で触れたように、タイ進出初期のデジタル施策では、大きな成果を一度に狙うよりも、実行できる範囲で小さなゴールを確実に積み上げていくことが重要になります。では、その「小さなゴール」をどのように設定し、次の判断につなげていけばよいのでしょうか。

タイ進出時のデジタルマーケティングでは、最初から完成形を描く必要はありません。まずは限られた施策で動かし、実際の反応を数字で確認しながら、次に広げるべきポイントを見極めていく。この進め方を取ることで、無理のない形で施策を前進させることができます。

進出初期に確認すべき数字は、決して難しい指標である必要はありません。例えば、SNSや広告を通じて見られているか、検索やマップで名前が調べられているか、受け皿となるページにたどり着いているか、そして来店や問い合わせといった次の行動につながっているかといった、シンプルな変化を追うだけでも十分です。タイでのデジタルマーケティングでは、こうした小さな数字の積み重ねが、次の施策判断につながります。

小さく始めるというのは、施策を限定するだけでなく、運用体制を無理のない形にすることでもあります。例えば、最初は一つのSNSチャネルに集中する、広告も最小限の予算で試す、LPやWEBサイトも必要最低限の構成にするといった形です。ただし、WEBサイトについては、ミニマムな構成で始める場合でも、将来的に情報を追加したり、役割を広げたりできる設計を前提にしておくことが重要になります。

数字を見ながら広げるとは、反応の良かった施策を中心に強化していくことです。想定より反応の良い入口が見つかれば、そこに予算や工数を寄せる判断ができますし、WEBサイトについても、後からコンテンツや導線を足していくことで、段階的に役割を拡張していくことができます。逆に反応が弱い施策は見直し、この繰り返しによって、無駄なコストを抑えながら、効果の出やすい形へと育てていくことが可能になります。

タイ進出時のデジタルマーケティングは、一度で正解を当てるものではありません。整理した目的と役割を軸に、小さく始め、数字を確認しながら広げていく。この進め方を意識することで、「何から始めればよいかわからない」状態から、着実に前に進むことができるようになります。

業態別に見る タイ進出時デジタルマーケティングの進め方3パターン

ここまでの考え方を踏まえると、タイ進出時のデジタルマーケティングは、業態によって考える順番が大きく異なります。ここでは、BtoC企業で特に多い「実店舗がある」「オンラインのみ」「実店舗+オンライン」の3パターンに分けて、進め方の一例を紹介します。

パターン① 実店舗がある場合(飲食・小売・美容・サービスなど)

<考える順番>

1:来店前に確認される情報を整える

  →Googleビジネスプロフィール
  →営業時間・場所・写真・口コミ

2:安心材料としての受け皿を用意する

  →WEBサイト(店舗紹介・ブランド背景)

3:集客の入口を一つ決める

  →SNS投稿
  →SNS広告

<ポイント>

  • 「探してから来る」より「見かけてから来る」行動を想定
  • WEBサイトは来店を後押しする役割に徹する
  • まずは“迷わせない状態”を作ることを優先

パターン② オンラインのみの場合(EC・予約制サービス・サブスクリプションなど)

<考える順番>

1:売る・行動につなげる場所を先に決める

 →モール出店(Shopee、Lazada)、自社ECサイト
 →LINE公式

2:集客チャネルを絞って開始する

 →SNS投稿
 →SNS広告

3:信頼を補完する受け皿を用意する

 →WEBサイト(企業情報・ブランドストーリー)

<ポイント>

  • 「売れるかどうか」を早めに検証する
  • 集客と売り場を直結させ、無駄を減らす
  • 信頼情報は“後回し”ではなく“補完”として並行する

パターン③ 実店舗+オンラインの場合(OMO型・D2C・小売+ECなど)

<考える順番>

1:中心となる受け皿を決める

  →WEBサイト(ブランド・全体設計)

2:来店・購入それぞれの行動導線を分ける

  →店舗:Googleビジネスプロフィール
  →オンライン:EC/予約ページ

3:集客を複数チャネルで試す

 ・SNS投稿
 ・Google広告

<ポイント>

  • すべてを一気につなげようとしない
  • 実店舗とオンラインを「役割分担」して考える
  • WEBサイトは将来的な拡張を前提に設計する

まとめ

タイ進出時にデジタルマーケティングについて考え始めると、選択肢の多さから「何から始めればよいのかわからない」と感じてしまうのは自然なことです。特にBtoC企業の場合、WEBサイト、SNS、広告、LPなど、検討すべき施策が多く、判断の軸がないまま進めると、成果につながりにくくなります。

重要なのは、いきなり具体的な施策を選ぶことではなく、全体を整理することです。本記事で整理してきたように、まずは「集客」「受け皿」「売る・行動につなげる」という目的を分けて考え、次にタイのユーザーがどこから企業やブランドを知るのかという入口を理解し、情報を受け止める場所を整理します。その上で、今はやらないことを決め、小さく始めて数字を見ながら広げていく。この順番で考えることで、無理のない形でデジタル施策を進めることができます。

タイ デジタルマーケティングでは、日本と同じ進め方がそのまま通用するとは限りません。ユーザーの行動や情報収集の流れを踏まえた設計ができているかどうかが、進出初期の手応えを大きく左右します。タイ進出時のデジタル施策は、正解を探すことよりも、整理しながら進めることが重要です。この考え方を土台に、自社に合った進め方を見つけていくことで、無駄な遠回りを減らすことができるはずです。

弊社は、日本とタイの両方に拠点を持ち、タイ進出企業のWEBサイト制作やデジタルマーケティング支援を行っています。日本側の視点で全体設計を整理しながら、タイ現地のユーザー行動や運用実務を踏まえた施策設計・実行をサポートしている点が特徴です。

タイ市場向けのWEBやデジタル施策に関する考え方や事例については、タイ法人のブログでも継続的に発信していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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